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2008年9月 3日

イーロ・ハイホネン (第1日・第2部)

イーロ・ハイホネン Eero Hyvönen (ヘルシンキ工科大学メディア技術研究所教授)

「CultureSampo -セマンティック・ウェブ2.0におけるフィンランド文化」
CultureSampo: Finnish Culture on the Semantic Web 2.0

 本発表では、セマンティック・ウェブ2.0ポータルであるCultureSampo (http://www.kulttuurisampo.fi/) と、その背景にあるフィンランド国家オントロジーサービス基盤ONKI (http://www.yso.fi) について、議論とデモンストレーションを行う。これらのシステムは、フィンランド全体にわたるセマンティック・ウェブのインフラ構築を目指す国家プロジェクトFinnONTO の一環として、またこれらのインフラに基づく応用システムとして開発されたものである。現在、Web 2.0 は多くの人々の関心を集めているが、我々はそれらの実用化に取り組んでいる。

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2008年9月 3日

リチャード・ビーチャム (第1日・第2部)

リチャード・ビーチャム (ロンドン大学キングス・カレッジ教授)

「過去の未来 -コンピュータ・ベースの文化遺産研究の新展開」
The Future of the Past: New Developments in Computer Based Cultural Heritage Research

 今回の発表では、キングスカレッジのヴィジュアライゼーション・ラボ(KVL)が海外連携機関と協力して行った最近のプロジェクトの成果を中心に論ずる。これは、文化遺産研究を具現化し、研究自体を可能にするヴァーチャルな物体・建築物を作成する試みで、複数ユーザーによる同時オンライン環境、セカンドライフ・ヴァーチャル・ワールドの教育的利用も目指したものである。現在進行中のプロジェクトには、「シアトロン3(Theatron 3)」があるが、これは、歴史上重要な25の劇場建築とその装飾を、それに相応しい背景・舞台衣装・演技動作も含め、再現するものである。この他、KVLのプロジェクトには、メルボルン大学との協力による考古学調査を基にした「(ポンペイ近郊の)オプロンティスのローマ風別荘」(これは、高度なデジタル3Dモデルとセカンドライフの両ヴァージョンで作成中)や、「ポンペイの劇場」(ヴァーチャルな演技の描写を含む)などがある。

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2008年9月 3日

ニール・フライスタット (第1日・第2部)

ニール・フライスタット Neil Fraistat (メリーランド大学教授、メリーランド人文科学技術研究所所長)

  
「デジタル・ヒューマニティーズ − ローカルとグローバル」
The Digital Humanities, Local and Global
  
 1990年代における、確たる分野としてのデジタル・ヒューマニティーズの出現は、デジタル・ヒューマニティーズ・センターによって、また主として、それらに付随する進歩の結果によって引き起こされた。これらのセンターは、(1)人文学への情報技術の応用のための重要な研究所、(2)このような研究の重要性を強力に提唱する機関、(3)分野としてのデジタル・ヒューマニティーズの理論化に向けての重要な拠点、(4)北米の「サイバー・インフラストラクチャー」のローカルノード、といった様々な役割を果たすものとなった。今回の発表では、これらのセンターの歴史と機能、特にサイバー・インフラストラクチャーにおける役割と、ローカルなデジタル・ヒューマニティーズ・センターを結んで、真のグローバルなネットワークの創造を目指す「センターネット(centerNet )」の活動に焦点をあてて述べる。
 
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2008年9月 3日

石上 阿希 (第2日・若手研究者海外派遣成果報告会)

石上 阿希 (立命館大学衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェロー)

「海外所在春画・艶本の調査」
Survey of Shunga and Ehon in Overseas Collections

 発表者はITP派遣により、ホノルル美術館・ボストン美術館が所蔵する春画・艶本の調査及びデジタル撮影を行った。また、ロンドン大学SOASを拠点に研究活動を行い、大英博物館の調査も進めた。特にホノルル美術館・ボストン美術館所蔵の資料はこれまで未調査のものであり、今回の派遣で目録を作成できたことは春画研究にとって意義が大きい。本発表では各美術館のコレクションついて述べた上で、これらの調査をふまえた春画・艶本データベースの構想について報告したい。

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2008年9月 3日

大槻 知史 (第2日・若手研究者海外派遣成果報告会)

大槻 知史 (立命館大学衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェロー)

「文化遺産・歴史的まちなみをコミュニティで守り続けるには -アユタヤ遺跡・タイ王宮所有地区の事例から-」
How to Preserve/ Conserve Historical Districts by Residents Themselves? –Case Studies of Thailand–

 法制度や予算上の課題の多い東南アジアでは、行政の力だけで文化遺産や歴史的まちなみを保全することは難しく、そこに住む人々の協力が重要となります。本発表では、タイ王国の世界遺産アユタヤ遺跡と王宮所有地の事例から、住民が自分たちの手で歴史的まちなみや文化遺産を災害や乱開発から保全するための方法を考えていきます。この発表が、単なる事例研究を超えて、歴史都市・京都に住む皆さんが地域の遺産やまちなみを守り続けるための参考になれば幸いです。
 

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2008年9月 3日

水田 哲生 (第2日・若手研究者海外派遣成果報告会)

水田 哲生 (立命館大学立命館グローバル・イノベーション研究機構ポストドクトラルフェロー)

「災害リスクマネジメントとしての観光地アユタヤの水害ポテンシャルの推定と、研究の成果のフィードバックとしての大学での講義の実践」
World Heritage Ayutthaya's Flood Loss Estimation as Risk Management, and a Practice of Lectures as an Achievement of Research Activities

 2008年6月30日から9月27日までの90日間、タイ・タマサート大学に派遣された。最初の1ヶ月余りは若手研究者ワークショップのオーガナイザー兼研究発表者として努めた。また同時期に大学内で複数の講義を担当した。残りの期間は、世界遺産であり国内有数の観光地でもあるアユタヤの水害リスクマネジメントに取り組んだ。水害頻発に直面しているアユタヤの価値を、トラベルコスト法を用いて試算し、併せて観光客と住民の意識も明らかにした。

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2008年9月 3日

鶴田 清也 (第2日・若手研究者海外派遣成果報告会)

鶴田 清也 (立命館大学大学院理工学研究科博士課程後期課程D3 / RA2)

「バーチャルダンスコラボレーションシステムのための音楽からの感性情報抽出」
Extraction of emotional information from music for Virtual Dance Collaboration System

 我々はライブダンサーとバーチャルダンサーがダンスコラボレーションを行うことのできるシステムを提案している。現在までに提案したシステムでは、ライブダンサーは音楽に合わせてダンスを踊るが、バーチャルダンサーはデータベース中の動作クリップから動作を選び出している。しかし、ダンス動作は音楽から大きな影響を受けるため、コラボレーション中に音楽が変化した場合、バーチャルダンサーの動作もそれに伴って変化する必要がある。
 本研究では、音楽から感性情報を抽出し、その感性の変化に伴いバーチャルダンサーの動作を再構築することを目指す。

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2008年9月 3日

大矢 敦子 (第2日・若手研究者海外派遣成果報告会)

大矢 敦子 (立命館大学大学院文学研究科博士課程後期課程D2 / RA1)

「映画関連資料の整理方法 -コロンビア大学東亜図書館牧野守コレクションの事例-」
The way of arrangement of non-film materials of Makino Mamoru Collection in C.V.Starr East Asian Library at Columbia University

 報告者は、2008年10月から12月にかけて、コロンビア大学東亜図書館にて、「牧野守コレクション」の整理を東亜図書館のアーキビストと共に行った。牧野氏のコレクションは膨大な映画史に関する資料(書籍・雑誌・シナリオ・プログラム・映画会社内部資料・写真資料など)で構成されており、当該コレクションの整理及び公開は映画関係者だけでなく、広く日本史及び日本文化研究の分野でも注目を集めている。本報告では、判明している一次資料群の紹介を行い、現時点での整理手法と今後のデータ整理及び公開に関する試みを発表したい。

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2008年9月 3日

大野 晋 (第2日・若手研究者海外派遣成果報告会)

大野 晋 (立命館大学大学院政策科学研究科D1 / RA1)

「歴史的な出来事のための可視化環境の研究」
Research of visualized environment for historical events

 発表者は、デジタルデータとして保存された時系列情報を持つ出来事を表現する仕組みの開発を行っている。その仕組みは、研究者にとっては分析するためのツールとなることを目的とし、学習者にとっては新たな関係性から好奇心を促すツールとなることを目的としている。今回の発表では、現在の研究を行っている仕組みを説明するとともに、デモンストレーションを行う。

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2008年9月 3日

ヨーゼフ・クライナー (第2日・午後第1部)

ヨーゼフ・クライナー Josef Kreiner (法政大学企画・戦略本部特任教授、法政大学国際日本学研究所兼担所員、ボン大学名誉教授)

「ヨーロッパの日本コレクション −その日本観及び日本研究における意味と役割」
Japanese Collections in Europe: Their Role within the Japanese Studies and their Significance for the Formation of the Image of Japan

 ヨーロッパの美術館・博物館をはじめ、王宮殿当や公人コレクションに約50万点以上の日本美術・工芸と民具・生活用品のコレクションが保管されている。古くは16世紀の骨董陳列室(クンストカンメル)に遡る漆器、屏風、武具や陶磁器、あるいは生活用品として愛された着物は、ヨーロッパ人の想像を刺激し、非常にポジティブな日本観を作り上げた。この日欧交流の早期の蒐集は多くの場合19世紀末頃設立された国立博物館の基礎になる。ケンペルのコレクションは大英博物館、大シーボルトのそれはライデンとミュンヘン民族学博物館、小シーボルトのものはウィーンの国立民族学博物館と応用美術館の最も早いコレクションの一つであると同時に、ヨーロッパの日本研究の出発点でもある。
 しかし、19世紀半ば近代科学のーつとして設立された日本学(ヤパノロギー)は、殆ど例外なく文学・文献学として理解されていた。20世紀後半漸く変化し始めたパラダイムは今度は社会科学の側面を重んじた。コレクションの膨大な資料は未だに日本研究の視野に入っていないのが現状である。この問題を真正面から取り上げながら、ボン大学日本文化研究所は昭和56年初めて中部ヨーロッパの美術館・博物館・公文書館等の担当者を招き、日本コレクションの歴史や現状を討論した。このシンポジウムの席上でヨーロッパ日本資料担当者の学会(EAJS)が生まれたー方、ドイツ連邦政府の研究費により、ヨーロッパに保管されているアイヌ民族文化及び琉球・沖縄関係のコレクションの網羅的調査研究企画も形を整えた。次の段階として、今度はトヨタ財団の援助をもって(ロシヤを除いた)全ヨーロッパの約60ヶ所の日本コレクション担当者に依頼し、総合的な概観を掴む事を試みた。その結果として、およそ300ヶ所の博物館・美術館の日本コレクションについて報告を得られ、博物館間の協力体制を強化するためのネットワーク「ENJAC」が生まれた。プラハでのシンポジウムに引き続き、次回はチューリッヒ大学が日本の仏教美術コレクションについてのシンポジウムを検討している。
 講演は、ヨーロッパに於ける日本関係コレクションの歴史と現状のアウトラインを提示し、その文化交流おける意義と役割を解明しようと試みる。

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