1  2

3.3.28 忠臣蔵見立人形

Z0598-155s.jpg

「忠臣蔵見立人形」

貞房 大判/錦絵 戯画・寄絵
出版:嘉永頃(1848~1853) 江戸
赤穂市歴史博物館所蔵
【前後期展示】.

■解説
 本作品は寄絵とよばれる手法で描かれた美人である。寄絵とは様々な物を集め、何らかの形に見立てた絵画である。本作品は、人形や髪飾り、着物や財布、襟の模様、上部のボカシ模様など、「仮名手本忠臣蔵」の各場面を連想させる意匠によって構成されており、どこに忠臣蔵が隠されているのかを探す謎解きの面白みがある。(H.Sa)

 

3.3.29 『忠臣蔵宝物道化縁起』

hayBK03-0196_009s.jpg

「忠臣蔵宝物道化縁起」

万亭 応賀(著)、直政(画)
中本1冊 合巻
出版:嘉永元年(1848) 江戸(川口屋宇兵衛,金屋友次郎)
立命館ARC 蔵 hayBK03-0196
【後期展示】.

■ 解説
 本作は嘉永元年2月29日から泉岳寺で行われた釈迦八相曼荼羅の開帳に伴い刊行された際物本である。大坂竹本座で人形浄瑠璃「仮名手本忠臣蔵」が初演された寛延元年(1748年)から100年の時間が経過し、「人として忠孝の道を知らなかったら鳥獣にも及ばない」として、「仮名手本忠臣蔵」を宝物の御開帳に見立てて説明している。たとえば六丁表の本尊の場合、衣は勘平が定九郎を撃って懐から奪った縞の財布、蓮座は小判、お経を六段目の勘平切腹の際に登場した討入りの連判状で構成されており、造り物の流行を踏まえたものであろう。「忠臣蔵見立人形」にも通ずるものがある。(Y.I.a)

3.3.30 座敷芸忠臣蔵

zasikigei.jpg

「座敷芸忠臣蔵」

山東京伝(著)、豊国(画)
中本1冊 滑稽本
出版:文化7年(1810) 江戸
立命館ARC所蔵 hayBK03-0752
【後期展示】.

解説
 本作は「仮名手本忠臣蔵」のワンシーンをさまざまな座敷芸で面白おかしく演じているパロディ作品となっている。
 三段目、口では、加古川本蔵が高師直に黄金などの進物を贈る場面をもとに描いている。左上がとんびの物まねをした師直、左上がろうそくの物まねをした鷺坂伴内、左下が闇細工という福笑いのような遊びをしている本蔵である。師直の機嫌を取るために、豆腐や油揚げ、ネズミといったとんびのエサとなるようなものを進物にしたり、伴内が本蔵をもてなすためにものまね芸をしたりするなど座敷芸と忠臣蔵をうまく組み合わせた読み物である。

 当時の浮世物真似、形態模写などの座敷芸の流行を踏まえた作品。(M.Oa)

続きを読む>>

3.3.31 安名手本執心廓

hayBK03-0748_05s.jpg

「安名手本執心廓」(あなでほんしゅうしんぐら)

東西散人(著)・英泉(画)
中本1冊 洒落本
出版:文政10年(1827) 江戸
立命館ARC所蔵 hayBK03-0748
【前後期展示】.

■解説
 洒落本とは、江戸中期以降の小説の一形態である。遊里を舞台とし、遊里の習俗、遊客遊女の風俗言動などを、会話を主とした文章で精細に描き、簡単な小説的構成をとったものが多い。また、「通」や「野暮」などの特有の美的理念に基づいた人物設定を特徴とする。しかし、本作は、その会話文体を使って、茶番の台本とする趣向であり「忠臣蔵」を茶番化したところに面白みがある。実際に、この台本を使って茶番を演じたのかどうかは定かではないが、いわば紙上茶番ともいうべき作品となっている。(H.Sa)

1  2