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5.2.08 浮世絵の主題としての「忠臣蔵」
『浮世絵ガイド そしてその主題 274の挿図とともに』
原題:A Guide to JAPANESE PRINTS and Their Subject Matter With 274 Illustrations
バジル・スチュワート(著)
1920年初版(展示品は1922年版復刻版)
個人蔵
【前期展示】
■解説
本著は、1920年に出版された同タイトルの浮世絵コレクターズガイドの増補改訂版である。Timesの書評によれば、1920年版はロンドンで出版されたものの瞬く間に売り切れてしまい、本書は待ち望まれた増刷分であった。さらに、新たに挿図や解説が加えられ、1920年版よりも充実した内容となっている。
この浮世絵について幅広い内容を取扱う380頁あまりのガイドブックなかで、「忠臣蔵」は60頁ほどの大部を割いて説明されている。冒頭では、日本でもなじみのある「忠臣蔵は歌舞伎の独参湯」という現象を説明していて興味深い。
北斎・広重・勝川派・歌川派・国貞といった順に絵と解説を載せ、ガイドブックであるとともに浮世絵のカタログも兼ねていた。『仮名手本忠臣蔵』の芝居絵や物語絵だけでなく、遊女たちの生活を『仮名手本忠臣蔵』に見立てたものについても解説している。(川内)