5.2.09 アメリカ生まれの忠臣蔵

『四十七士の物語』
原題: THE 47 RONIN STORY
ジョン・アリン(著)
出版:1970年(展示品は2006年版)
立命館アジア太平洋大学図書館蔵
【後期展示】.

■解説
 著者であるジョン・アリンは、スタンフォード大学、ミシガン大学で日本語を学び、検閲官として戦後日本へ赴任し、日本映画史や歌舞伎についての論考がある。
本作は、紹介や翻訳ではなく著者による翻案である。
版が重ねられ電子版も販売されていることからも、よく読まれている作品であることが分かるが、おそらく欧米で現在もっともよく読まれている忠臣蔵関連書籍である。
松の廊下で切りかかられた吉良こそ真の犠牲者であったというスティーヴン・ターンブルの序文が載る。
忠臣蔵について語る際、必ずと言っていいほど吉良は悪役、浅野は哀れという内容であったのとは逆で、近年の学問的流れを反映したものと思われる。
心理描写に重きをおき、浅野が切りかかるまでの吉良と浅野の心理や、切腹覚悟の仇討に踏み切るまでの四十七士の心中に多く筆を割いている。(川内a)