5.2.04 まるで和本!?の豪華本

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 『忠臣蔵または赤穂の忠臣』
原題:Chushingura or the loyal retainers of Akao
井上十吉(訳)
1894年初版(展示品は1937年版)
立命館大学図書館所蔵
【前・後期展示】

 ■解説
 初版が1894年に出版されたのちに1910年に大幅な増補を施し、さらには1937年には美麗な和本仕立てで再版された。1937年版は、和本のように帙に入り、表紙は雁子模様の縮緬に金で題名が印字されている。
 翻訳者である井上十吉は明治を代表する英文学者で、ヘボン式から脱却した和英辞典を執筆した人物として知られている。
 序文に忠臣蔵に興味をもつ外国人に向けた本であると書かれているとおり、侍、江戸時代、歌舞伎について、約40ページにおよぶ詳しい説明がつけられている。
 『忠臣蔵』の主題を武士道であると述べ、武士道とは、名誉にかかることについて一度手をつけたら、命や財産を犠牲にしてもやりきることであると説く。
 訳文は、英語で『仮名手本忠臣蔵』を上演することも視野に入れ、原文に非常に忠実である。(川内)