5.2.01 桜田門外と忠臣蔵?

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『大君の都』

原題: The Capital of the Tycoon: A Narrative of a Three Years' Residence in Japan 
ラザフォード・オールコック(著)
1863年初版
立命館大学図書館所蔵
【前期展示】

 ■解説
  領事として横浜に赴任していたオールコックは、1863年に出版された著書『大君の都』の中で、忠臣蔵について触れている。これが海外の文献で忠臣蔵が扱ったものの初見であると言われる。
 オールコックは、忠臣蔵を「奇妙な物語」と紹介し、その「奇妙な物語」が芝居や出版物を通して大変な人気を博していたことから、この復讐劇が子供たちへ与える教育的影響を心配した。さらには、桜田門外の変を起こす心性も、主君をいじめぬき切腹へと追いやった上役への復讐をたたえる忠臣蔵が培ったのではないか、とその記述を結んでいる。
 流布する作品と国民性を結びつけた文学観は、同時期の日本研究者たちと共通するものである。(川内)