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5.1.03 『元禄忠臣蔵』
『 元禄忠臣蔵』
真山青果(著)
昭和9年(1934)初版
初演:昭和9(1934)年2月東京歌舞伎座
【展示なし】
■解説
全9編からなる戯曲。近年まで何度も上演されている。華やかな『仮名手本忠臣蔵』に比べ、史実に基づいており落ち着いた作品である。中でも「伏見撞木町」は『仮名手本忠臣蔵』の一力茶屋大石内蔵助の御家再興の嘆願に斬新な解釈をほどこし、その遊蕩が本心でも世間をあざむく策略でもなく、自らが犯した過ちの重さにじっと耐えるためのものであったとする独自の意味を付与した。なお、1941年に前編、翌1942年に後編として溝口健二監督により映画化されている。この映画も原作と同じく史実を重要視しており、実物大の松の廊下をはじめとする建築や言語・風俗等徹底した時代考証がなされている。(今中)
【参考資料】
宮澤誠一(2001)『近代日本と「忠臣蔵」幻想』青木書店