4.3.8 その他の敵討ち

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「柵自来也話」「太平記白石噺」「崇禅寺馬場」「稲妻艸紙」「敵討猿ヶ島」「高砂の松」 

無款 細判/錦絵(横) 役者絵
出版:幕末 
立命館大学ARC所蔵 arcUP4976
【前後期展示】.

■解説
 この作品には様々な六つの敵討ちの物語を一枚の絵にまとめたものである。右上が「柵自来也話」上段中央が「太平記白石噺」左上が「崇禅寺馬場」右下が「稲妻艸紙」下段中央が「敵討猿ヶ島」左下が「高砂の松」である。
 「柵自来也話」は時代物の歌舞伎脚本であり、通称「自来也」と呼ばれる。義賊自来也と称す男が仙人から教わった蝦蟇の妖術で天下を横行し、孤児早見政二郎を助け、敵討ちの助太刀をする。
 「太平記白石噺」は、人形浄瑠璃の演目であり、初演されてすぐに歌舞伎化された。奥州白石の百姓の娘二人が父の敵討ちをした史実を慶安太平記の世界に組み込んだ物語である。
 「崇禅寺馬場」は遠城治左衛門と安藤喜八郎の兄弟が弟の宗(惣)左衛門の仇である、生田伝八郎を討とうとして返り討ちにあう物語である。
 「稲妻艸紙」は本題名が「浮世柄比翼稲妻」という歌舞伎狂言である。父を殺された名古屋山三が仇である不破判左衛門を討つ話と、父である本庄助太夫を殺された小紫が仇の白井権八を討とうとする話とを仕組んだものである。
 「敵討猿ヶ島」は、いわゆる猿蟹合戦の話であり、 「高砂の松」は、現代では「研辰の討たれ」として野田秀樹の演出で著名になった敵討である。(a)