4.1.3 曽我の対面

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「摂馴染曽我」「工藤一臈祐経」「曽我十郎祐成」「同五郎時致」

豊国〈3〉 大判/錦絵 役者絵
出版:嘉永2年(1849)頃 見立
立命館大学ARC所蔵 arcUP2867
【後期展示】.

■解説
 「曽我の対面」と呼ばれる場面の図を描く。江戸時代には、江戸歌舞伎においては、初春狂言としてほぼ毎年曽我狂言を出し、その中で必ず対面の場面が仕組まれていた。そのため、趣向を凝らして様々な書き換えがなされてきた。しかし、基本は、曽我兄弟と、その仇である工藤祐経とが初めて対面する場面である。明治以降は、対面の場だけが単独し、定型の作品として上演されるようになった。
 小林朝比奈の手引きにより、兄弟はついに工藤との対面を果たす。弟の五郎は工藤に今にも切りかかろうとするが、兄の十郎と朝比奈がそれを抑える。結局、父の仇を前にしながら、曽我兄弟はこの場面では工藤を討つことはなかった。工藤が奉行の役目が終われば討たれようと狩場の通行切手と太刀を渡し、双方再開を期して別れることになる。(Y,Sa)