4.0 さまざま敵討

  赤穂浪人の討入りは、敵討事件として日本で最もよく知られており、まさに決定版の如き様相を示しているが、それ以前にもさまざまな敵討があった。たとえば荒木又右衛門の伊賀越敵討や曽我兄弟が工藤祐経を討った曽我敵討は、忠臣蔵と併せて日本の三大敵討に数えられる。いずれも、講談や演劇で人気をとり、敵討を成就した当事者は庶民にとっての英雄となっていった。
 以降も、たびたび敵討が行なわれ、明治6年(1873)に敵討ちが禁止されるまで、浄瑠璃や歌舞伎として上演され話題を呼んで知れ渡った。不思議なことに、現代においても多くが語り継がれており、文芸の世界に復活してくるのである。このコーナーでは、そのなかでも有名な作品や当時舞台化されて話題を集めた作品などを紹介していく。(a)