3.1.05おもちゃ絵

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「新板忠臣蔵十二段つづき」

幾丸 大判/錦絵  おもちゃ絵
出版:幕末~明治初期 江戸・東京
立命館ARC所蔵 arcUP5852
【前後期展示】.

■解説
 本作品はおもちゃ絵と呼ばれるもので、子ども向けの遊び道具として刷られた浮世絵である。おもちゃ絵は主に子どもが見たり切ったりして楽しむものとして制作されているため使い込まれたものがほとんどで、完全な状態で残るものは多くない。
 格子線で区切られた12のマスの中に「仮名手本忠臣蔵」を描いた本作品は、最上段右端に大序を置き、最下段左端に十二段目として光明寺焼香の段を描く。一目で、「仮名手本忠臣蔵」のストーリーを知ることができるものである。この形をとったものは、三段ずつ描かれた横長の長方形になるように横線に沿って切り取り、三段目の左端と四段目の右端を貼り付けるようにすることで、右端が大序、左端が十二段となる長い巻物のようにしたり、縦線で山折り・谷折りを繰り返すと本の形をとらせたりすることができる。他にも線に沿って切り取り、カードのようにして遊ぶこともできた。(M.Oa)

参考文献  岩切信一郎、2007年、「おもちゃ絵の世界」、『東京文化短期大学こども教育研究所紀要 2』、 東京文化短期大学、p11-17