3.3.19 天道大福帳

arcBK03-0058_014s.jpg

「天道大福帳」 (てんどうだいふくちょう)

朋誠堂喜三二(著) 北尾政美(画)
中本1冊 黄表紙
出版:天明6年(1786) 江戸
立命館ARC所蔵 arcBK03-0058
【前後期展示】.

■解説
 「仮名手本忠臣蔵」に登場する人物らの行動は、天道という神仏のような存在の操りによるものであるという趣向をとった作品である。九段目では、戸無瀬が小浪を殺そうとしているところを虚無僧に扮する加古川本蔵が止めに入る場面が描かれている。天道は右上に描かれている丸い顔の浄衣を着たもので、その左には熊手を持った配下の星が描かれている。「お石が『御無用』というまでは、待て」と天道は星に熊手を使わせて、戸無瀬が刀を振り下ろすのを止めさせている。この場面は親に子を殺させてはならないという天道の配慮によるものだったのである。(M.Oa)

 参考文献 小池正胤、1985年、『江戸の戯作絵本』、社会思想社、p42,60-61