3.3.27 大阪市中人心 忠九抜文句画合

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「大阪市中人心 忠九抜文句画合」

作者不明 大大判/墨摺 一枚摺抜文句
出版:慶応4年(1868)1月
立命館ARC所蔵 arcUP3864
【前後期展示】.

■解説
 抜文句は江戸後期に生まれた落書風戯文で、当時の風俗や世相、事件などを人気浄瑠璃の詞章の一部に見立てて滑稽・風刺をきかそうとしたものである。
 特に「仮名手本忠臣蔵」九段目から文句(せりふ)をとり、それに世相・事件を見立てたものが多く存在する。
 本作も「忠九」とあるように、「仮名手本忠臣蔵」九段目から文句を抜いた作品である。慶応4(1868)正月上旬に大阪で起きた大火事の様子を抜文句で描写する。鳥羽・伏見の戦いにより19日に大阪城本丸から出火した火事のことではないかと推測される。短冊型のコマの上に抜いた文句を、下にそれに対する皮肉や風刺を書いている。また、帯状に描かれた絵は上の文章と対応しつつ、火から避難する人々が描かれている。(M.Oa)

参考文献 赤穂市史編纂室、2012年、『忠臣蔵第6巻』、赤穂市史編纂室、p156-157