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3.1.11 討入双六
「俳優有馳入双六」
国周 双六/錦絵 役者絵(評判絵)
立命館大学ARC所蔵 arcSP01-0100
※袋アリ
【前後期展示】.
■解説
この双六は、「仮名手本忠臣蔵」のストーリーから離れて討入だけの場面を描いているが、描かれているのは役者である。幕末期から明治初めにかけて、「役者評判絵」とも呼べる種類の役者絵が売り出されるようになるが、この双六はその趣向を取り入れ、この当時の役者たちとの人気や実力を討入りの時に活躍した義士たちに擬えることで、評価している。一般の双六のようなコマ枠がなく、全体で討入り場面を描き、それぞれの義士を飛回って上りに至る。
本作には、袋が残っており、今回併せて展示する。(a)
3.1.12 忠臣蔵の柱絵
「忠信蔵 漆段目」
無款 柱絵/錦絵 物語絵
出版:寛政年間(1790~1800)江戸
立命館ARC所蔵 arcUP5865
【前後期展示】.
■解説
本図は、七段目の柱絵としては、縁の下が描かれておらず、例外的な図様となっている。手紙を読む男の紋は、二つ巴であり、明らかに由良之助を描いていながら、階上から覗く遊女の手には手鏡はなく、また、縁の下に手紙が垂れているわけでもない。「忠信蔵」と「漆段目」と一文字ずつ違えているのも解釈が難しい。上中下の三人の構図でなくても七段目になり得るという根拠となる事例ともいえるが、慎重に解読する必要があるのかも知れない。(a)
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