3.1.07 仮名手本忠臣蔵双六

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「仮名手本忠臣蔵 双六」

無款 大判/合羽摺 双六
出版:幕末期 大坂
立命館大学ARC蔵 arcUP4052
【前期展示】.
 
■ 解説
  「仮名手本忠臣蔵」の全十一段の各場面をとりあげ双六にしたもの。大序の足利直義公が振出になり、各段の有名な場面をへて、師直が捕まえられた場面で上がりとなる。
 双六は絵双六と盤双六の二種類あり、通常双六といえば絵双六を指す。賽子の出た目で指示がなされ、盤面を縦横に移動する「飛(廻)双六」と、出た目の数だけ駒を進める「廻双六」の二種類の遊び方がある。
 振出が「日本橋」で、「京」があがりの「道中双六」が多く、そのほかにも古典文学や昔話、人の出世や成長過程が題材にされ、絵双紙屋の主力商品のひとつでもあった。
 本作は盤面に指示がない双六であるが、当時の双六には鑑賞用に軸装に仕立てられたり、商売宣伝、仲間内への配りものなど、遊戯だけではなく様々な楽しみ方があったと考えられる。
 また当作品は、「合羽摺」という浮世絵版画において主に京坂地方で行われた彩色摺刷法を用いている。刷毛で着色するため薄い紙でも十分であり、型紙をくり抜くので経費を抑えられる点で、上方では手軽な着色法として多くの作品に用いられていたが、保存の点において重視はされず、現存する作品は珍しい。(Y.I.a)

参考
『浮世絵大事典』岩崎均史 p259
加藤康子「絵双六に見られる庶民文化の空間」(『日本文学』53(10),p53-62,2004-10)