3.1.04 絵半切

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「忠臣蔵絵半切」

無款 錦絵摺・折本1帖 物語絵
出版:不明
立命館ARC所蔵 arcBK01-0128-01
【前後期展示】.

■ 解説
 絵半切とは奉書を横に二つ切にした横長の書簡用箋である。上部は空白になっており、そこに持ち主が文字などを書き込めるようになっている。絵の塗色は薄紅や薄緑などが用いられる。手紙のほか祝の文、和歌俳句の料紙としての用途があり、消耗品のため現存作品は少ない。

 本帖で描かれるのは大序・三・四・五・十・十一段であり、二・六・七・八・九段が欠けている。つまり、勘平切腹や祇園一力茶屋、山科閑居などといった舞台で名場面とされる箇所を除く構成なのである。本来、全段揃っていたものから、名場面が抜かれたとも考えられるが、描かれる場面が刃傷や討入りなど、武力をテーマに共通している点などを勘案すれば、むしろ本帖の編集者作り手の意図について想像をかきたてる作品である。(Y.I.a)

 参考
『浮世絵大事典』稲垣進一,p87
Y.I.