3.1.03忠臣蔵の団扇絵

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「団扇絵」

無落款 団扇絵/錦絵 物語絵
嘉永年間(1848~1853)
赤穂市歴史博物館所蔵
【展示なし】

■解説
 団扇絵とは、団扇に貼る目的で制作された浮世絵版画である。ただ絵柄を鑑賞して楽しむだけでなく、日常生活で使用することのできる、実用性を持っている。
 討入り場面を描く本作の場合、季節は冬となるため団扇の図柄としてはあまり相応しくないが、忠臣蔵の討入りが極めて人気があったために本作が生れたと思われる。
 なお、団扇絵は、団扇の裏表があるという特徴を生かし、両面で一場面を構成する作品や、それぞれの面に関係性のあるモチーフを配するなどの工夫もできる面白さもある。江戸時代には大量に製作されたと思われるが、実用性が高かったため、使用後は捨てられてしまったものも多かった。団扇の形態のままで保存されているものは極めて少なく、一旦、団扇に貼られたものを剥がされて骨の跡がある作品も残るが、むしろ製作されて切取られずに残るものが多い。(H.S a)

 [参考]

「浮世絵大辞典」73頁