2.3.02 両家の衝突

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「仮名手本忠臣蔵 九段目ノ下」
「娘小浪 尾上多賀之丞」 「となせ 嵐璃寛」「大星力弥 中村駒之助」 「加古川本蔵 実川八百蔵」「於いし 片岡松太郎」「大星由良之助 尾上多見蔵」

芳滝 中判/錦絵 6枚続 役者絵
上演:明治7年(1874)5月大阪・角
「仮名手本忠臣蔵」
立命館大学ARC所蔵 arcUP1117-1122
【前後期展示】.

■解説
 この浮世絵は、横に六枚つなげることで大きな一枚として完成する。加古川家、大石家という家老職の二つの家が捲込まれて事件を描くのに相応しいワイド画面を提供している。
 本蔵は、お石を組み敷き、その後「力弥は居らぬか、力弥はいかゞした」と力弥を挑発する。母を足蹴にされた力弥は、母が取り落とした鎗を取るやいなや、すばやく本蔵を突き刺した。本蔵は一声上げてその場に倒れこむ。どうすることもできない戸無瀬と小浪。止めを刺そうとする力弥。そこを由良之助が引留める。
 本蔵はなぜ、自ら力弥の手にかかったのか、またその前になぜ由良之助は止めなかったのか。由良之助は、すでに本蔵の意図を察していたのである。(A.Ya)

■参考
仮名手本忠臣蔵 歌舞伎オン・ステージ8 服部幸雄 (1994) 白水社