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2.2.2 道行旅路の花聟
「仮名手本忠臣蔵 三段目」
国貞〈2〉 大判/錦絵 物語絵
出版:嘉永4年(1851)頃 江戸
立命館大学ARC所蔵 arcUP1988
【後期展示】.
■解説
山崎に落ちていくお軽と勘平、そして彼を捕らえ、お軽を手に入れようとする伴内が描かれる。裏門と呼ばれる。現在は、このあとの場面として「道行旅路の花聟」という道行へと進んでいくが、この道行浄瑠璃は、原作「仮名手本忠臣蔵」にはなく、天保4年(1833)3月河原崎座で初めて上演されたものである。「旅路の花聟」では、戸塚の山中で、伴内が追いつき、お軽を渡せと迫るため、この道行が出ると、裏門は必要なくなって、カットされることが多くなった。
伴内がお軽を手に入れようとするのは、師直が顔世御前の横恋慕のパロディであり、伴内の恋が成就しないことで、勘平の自刃を引き起こす。塩冶家の崩壊と勘平が入った与一兵衛一家の崩壊がもどきの関係で描かれている。 (K.Ka)
【参考資料】
戸坂康二(2006)『仮名手本忠臣蔵-江戸を熱狂させた仇討ちと悲恋』(ビジュアル版 日本の古典に親しむ⑪)世界文化社