- 展覧会目次
1.06.2 勘平の誤解
「忠臣蔵」「六段目」
絵師:広重 大判/錦絵(横) 物語絵
出版年不明・江戸
立命館ARC所蔵 arcUP4650
【後期展示】
■解説
泣く泣くお軽を見送った後、お軽の母は勘平に与一兵衛とはどこで会ったのか尋ねるも、実際に会ってはいない勘平は口からでまかせを言うしか無い。そこへ、狩人三人が死骸となった与一兵衛を戸板に乗せてやって来た。昨日の夜に殺されていたのを運んできたと言う。それを聞いて、やはり昨日撃ち殺したのは与一兵衛であったと勘平は愕然とする。気の毒に思いながら狩人たちは去っていったのであった。
六段目において主要な人物は言うまでもなくお軽の母親と勘平であるが、広重は悲しみながら帰っていく狩人たちに着目し、絵の真ん中に大きく配置している。そして右奥には入れ替わりに千崎と原郷が訪問する様子を小さく描き、遠近感のある構図となっている。あえて帰りの狩人をメインに描くことで、その出発点で何が起こっているのかを注目させる、広重ならではの面白い描き方である。(藤井)