1.11.3 四十七人の忠義

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 「仮名手本忠臣蔵」 「十二段目」

貞信〈1〉 大判/錦絵 物語絵
出版:嘉永頃(1848)、大阪
立命館大学ARC所蔵 arcUP3876
【後期展示】.
 
■解説
 本作も原作「仮名手本忠臣蔵」にはない場面を描いている。原作では、師直の首を前に、その場で焼香の場となるが、本図では師直の首を、泉岳寺の墓前に備えて一人一人焼香する場面として描いている。
 墓や人物の配置などはほぼ左右対称で描かれているが、松の木などの背景が非対称で描かれ、構図にアクセントをつけている。
 墓石の家紋は塩冶のモデルとなった浅野家の家紋であり、鷹の羽を交差させる「違い鷹の羽」という。国貞〈1〉が描く「仮名手本忠臣蔵 十一段目後」(arcUP1793)は左の羽が前になる一般的な「丸に違い鷹の羽」であるが、本作では「浅野鷹の羽」と呼ばれるもので、右の羽が前面である。
 なお、忠臣蔵の揃物では、十二段目として、遠景に、帆を上げた多くの船が浮ぶ品川沖を描くのが定型となる。
 (小笠原a)
 

 

 参考資料

浮世絵鑑賞基礎知識(項目:貞信)

一本気新聞(http://www.ippongi.com/2011/12/23/takanohane-2/ 2014/11/27取得)