1.11.2 敵討ちの報告

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「仮名手本忠臣蔵 十一段目 後」
 
国貞〈1〉 大判/錦絵 物語絵
出版:天保中期(1835)頃 江戸
立命館大学ARC所蔵 arcUP1793
【前期展示】.
 
■解説
 敵討ちを終えて万感の思いの由良之助たちは、師直の首を判官の墓前に届けて仇討の報告をしようと、両国橋を渡って光明寺に向かう。ちょうど橋を渡っていると、馬に乗った若狭之助が迎える。彼は由良之助たちをねぎらい、後のことは任せるように言う。由良之助たちは安心して、判官のもとへと向かうのであった。
 ここまでが現行で歌舞伎「仮名手本忠臣蔵」で上演される物語である。
 一方、この図は、舞台「仮名手本忠臣蔵」では演じられない、十一段のその後を描いたものである。この絵の舞台は判官の墓のある泉岳寺である。「仮名手本忠臣蔵」の題材である赤穂事件では、義士たちは墓前に首を据え、敵討ちの報告をしたとされている。この絵でも墓の前に師直の首が布をかぶせて置かれている。義士たちは墓前で焼香をし、判官の冥福を祈り、万感の思いで敵討ちを完成したのである。(小笠原a)
 

参考資料

文化デジタルライブラリー (http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/ 2014/11/7取得)

小林加代子 「赤穂浪士の評価に見る日本人の「義」について」人間文化創成科学論叢 第15号 1-1-9, 2012