1.07.2 放蕩者の由良助

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「忠臣蔵」 「七段目」
 
広重〈1〉 大判/錦絵 物語絵
出版:天保前期(1830~1835) 江戸
立命館大学ARC所蔵 arcUP4651
【前後期展示】.
 
■解説
  この絵では大星由良之助が九太夫とともに宴を楽しむ姿が描かれている。祇園で遊びほうける由良之助を見て、味方の矢間十太郎・千崎弥五郎・竹森喜八郎の三人が由良之助の真意をはかりかね、彼のもとへやってくる。三人には、塩冶の足軽で北国へ使いにいっていた平右衛門も付いてきていた。彼らは由良之助の様子を見て怒り呆れるが、平右衛門は自分もなんとか敵討ちに加わりたいと申し出る。しかし由良之助は相手にせず、彼らをなだめて酒を飲むのであった。
 さて、由良之助のこの体たらくを見てもなお、九太夫は敵討ちの意思を疑わずにはいられなかった。由良之助の招いた宴に同席し、酒の力を借りて彼の本心を聞き出そうとするのであった。
 格子柄の着物を着て、遊女たちに囲まれ楽しそうに酒を仰いでいるのが九太夫である。その脇で扇子を広げ笑みを浮かべているのが由良之助、そして、奥の中二階で闇にまぎれるようにひっそりと酒を冷まして佇んでいるのは、身売りされ遊女となったお軽である。(小笠原a)
 

参考資料

文化デジタルライブラリー (http://www2.ntj.jac.go.jp/dglib/ 2014/11/7取得)

中村一基 「仮名手本忠臣蔵』のドラマツルギー - 「心底」に憑かれた者たちの攻防戦 -」、岩手大学教育学部附属教育実践研究指導センター研究紀要 第7号 pp. 1-13、1997