4.0.1 カモフラージュの敵討ち

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「新版 信田会稽夜討」

無款 大々判/丹絵(横) 
宝永8年(1711)頃
立命館大学ARC所蔵 arcSP02-0051
【前後期展示】.

■解説
 忠臣蔵事件が起こった前後、演劇や文芸の世界では、こぞってこの事件を取り上げたが、江戸では、討入り直後の芝居が差し止められたこともあり、メディアが取り上げることに慎重だった。この作品は、上方での動向をみつつ、「信田」という集団敵討の物語の役者絵に「討入事件」を仮託している。江戸時代では、政治的な事件を直接表現できなかったため、他の世界に見立てて表現することが多かった。つまり忠臣蔵事件のカモフラージュするため、別の信田の敵討に仮託して描かれたのである。
 なお、本作は、赤穂浪人たちの討入り事件を浮世絵で描いた最古の作品である。(Y.S.a)