4.1.1 幼少期の曽我兄弟

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「曽我中村閑居之図」


延一 大判/錦絵 武者絵、歴史画
出版:明治30年(1897)12月 東京
立命館大学ARC所蔵 arcUP5066-5068
【前期展示】.

■解説
 曽我の敵討を描く作品は、夜討ち、矢の根、対面、草摺引などを描くものが多い中、本作は兄弟の幼少時代を、母とともに描く作品で、江戸時代にはあまり描かれない図柄である。曽我の兄弟の父親が殺されたのは兄弟がまだ幼いころであったが、父の亡き後、母親は曽我祐信に嫁し兄弟も引き取られる。まだ7,8歳であるというのに父の仇である工藤を討とうと鍛錬している様子が描かれている。
 ある秋の日、雲井を渡る五羽の雁を見て、兄の祐成は、弟の時致に、「あの雁の二羽は父母、三羽は三人の兄弟である。しかし、自分たち兄弟には実の父親がいない。本当の父は河津であり、敵は工藤祐成である」と教え、それ以来、両人は敵討を決心する。兄弟は、母の見守る中、成長しながら心を合わせて武力を磨いていったのである。(Y,Sa)