3.2.13 絵兄弟忠臣蔵 六段目

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「絵兄弟忠臣蔵 六段目」

国貞〈1〉 大判/錦絵 見立絵
出版:天保初期(1830)頃 江戸
立命館ARC所蔵 arcUP0510
【後期展示】.

解説
 本図には女性が化粧を施しているところが描かれている。鏡台の下にある「美艶仙女香」と書かれたものが江戸後期に流行したおしろいであることから、女性は鏡を見ながら手に持った紙を用いて化粧を整えているのだとわかる。上部には悲嘆にくれている男女が描かれている。これは「仮名手本忠臣蔵」六段目の一文字屋に連れられるお軽と早野勘平が別れを惜しんでいる場面である。したがって、本図では化粧をしている女性を、茶屋へ連れられる前に身だしなみを整えているお軽に擬して描いているのである。何気ない日常の振る舞いから、「仮名手本忠臣蔵」の場面を連想させたのである。(M.Oa)

参考文献 高橋雅夫、1982年、『東洋文庫414 都風俗化粧伝』、平凡社、p164-170