3.3.20 黄表紙 『稚衆忠臣蔵』

he13_02946_0158_p0012s.jpg

 「稚衆忠臣蔵」(わかしゅちゅうしんぐら)
十返舎一九(著・画)
中本3冊 黄表紙
出版:寛政12年(1800) 江戸
早稲田大学図書館所蔵 へ13 02946 0158
【前後期展示】.

■解説
 本作は、子供向きの平易な文体と趣向を、「仮名手本忠臣蔵」に見立てたものである。本作において、事の発端はにらめっこで負けた腹いせに、塩冶判官が高師直を菖蒲刀で打ったためとなっている。勘平は水鉄砲で斧定九郎を撃ち、討ち入りの場面では、義士たちが炭小屋に隠れた師直を胴上げし、最後には、桃井若狭之介のとりなしで仲直りの指きりをして終わる。主要な登場人物、話の流れはそのままに、当時の子供たちの遊びや玩具を取り合わせた構想がなされている。一九らしい穏やかな滑稽と、当時の風俗を読み取ることができる作品である。(H.Sa)

 参考

『古典文学大事典』648頁