2.4.2 町人義平の男気

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 「仮名手本忠臣蔵 十段目」 

北斎 大判/錦絵〈横〉 物語絵
出版:文化3年(1806)頃 江戸
立命館大学ARC所蔵 arcUP1724
【前後期展示】.

■解説
 十段目の見どころはここ!と言い切れるほどに有名な場面である。捕手を装った塩冶浪人たちは、義平の心を試すために「由良之助に頼まれて武器や武具を調達しているのではないか。白状しろ」と責め立てる。言わないとみると、義平の息子の由松を人質にして義平を脅した。
 義平は少しも動揺せずに長持の上に座り、「天河屋義平は男でござる」 と言い放つ。そしてあまつさえ、由松を自らの手で殺そうとまでしたのである。こうして義平は、家族や奉公人らを全て犠牲にして、塩冶の恩に報いようとする。
 左奥では、義平の妻で離縁されたお園が、この家族の崩壊を食止めようと大星の命令で動いた家来によって、髪を切られようとする場面も描いている。(a)