1.05.3 夜の山の敵討ち

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「浮絵忠臣蔵」  「五段目」
 
国直 大判/錦絵 物語絵
出版:文化8年(1811) 江戸
立命館大学ARC所蔵 arcUP3266
【前後期展示】.
 
■解説
 か弱い老人から五十両を手に入れ、してやったとほくそ笑む定九郎。その後ろから手負いの猪がこちらへ一目散に駆けてきた。とっさに木にしがみついてやりすごし、一息ついたその瞬間、定九郎の胸を鉄砲玉が貫いた。悲鳴を上げる間もなく絶命してしまう。この図はまさに、定九郎が木にしがみついた瞬間を描いている。
 暗闇の中で勘平が討ち取った獲物を探ってみると、実は猪だと思っていたのは人、つまり定九郎だったのである。大変なことをしてしまったと抱き起こすと定九郎が与一兵衛からつい最前奪い取った財布に触れた。中には自分の求めていた五十両が入っているではないか。これは天のお与えになったものと思い、財布を持って一目散に帰宅するのであった。なお、木に上るのは、舞台でみれば演出となるが、現行の舞台では行なわれない。
(藤井a)