1.01.3 若狭之助の無念

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「忠臣蔵 大序」
 
広重〈1〉 大判/錦絵(横) 物語絵
出版:弘化2年(1845)頃 江戸
立命館大学ARC所蔵  arcUP1173
【後期展示】.
 
■解説
 師直に強引に言い寄られ困惑する顔世の所へ、機転を利かせた若狭之助が割り込む場面である。二人の時間を邪魔されて苛立つ師直は誰のお陰でお前のような身分の低いものに俸禄があると思っているのだと口汚く若狭之助を罵る。あまりの侮辱の言葉に耐えきれず若狭之助は刀を手にかけ鞘口を握りしめるが、ここは神前。今すぐにも刃傷に及ぶところであったその時、「還御ぞ」の言葉とともに直義が帰館のため通りがかり、師直への無念を抱いたまま持ち越しとなった。ここで刃傷に及ばなかったことが二段目へと続く、家々を巻き込んだ復讐劇の始まりとなるのである。(藤井a)