1.06.3 母の無念

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「忠臣蔵 六段目」

芳虎 弘化04(1847)~寛永1・江戸
物語絵 大判/錦絵
立命館ARC所蔵 arcUP2824
【後期展示】
 
■解説
  与一兵衛が殺されて帰ってきたというのに驚かないのは、勘平がいくら元武士であってもおかしいと与一兵衛女房は不信を抱く。与一兵衛と道で会った時なんと言っていたか、お前が答えられない理由はここにある、そう言って勘平の懐から引き出したのは血のついた縞の財布であった。彼女は一文字屋の話を聞いて勘平がちらりと袂の財布を見たのを見逃さなかったのである。律儀な人だと思っていたのに畜生な婿だとは知らなかった、夫を生きて返せと彼女は恨みの言葉を並べて泣き伏した。これはまさに天罰であると思っていたその時、現れたのは元塩冶判官の家臣、千崎弥五郎と原郷右衛門であった。(藤井)