見立絵同様、『忠臣蔵』をパロディ化した戯画も多く描かれている。ストーリーをふまえながらも、登場人物が劇中の相関関係とは真逆のかけ離れた行動をとったり、ふざけ合う様が描かれ、やはりだれもが知っている『忠臣蔵』だからこそ、本来のシリアスな物語や人物像とのギャップの大きさを競うように絵師たちは発想力とセンスを働かせて描き、見る者たちの笑いを誘ったのである。擬人絵も含めた戯画は、歌川国芳とその画系に属する絵師たちが大いに筆を揮った。 なお、Ⅻ「忠臣蔵の世界を遊ぶ」でも月岡芳年と3代歌川国貞の戯画による絵双六を取り上げているので、あわせてご覧いただきたい。