E2.2.08.4 誠忠義心伝 八 後室瑶心院尼

絵師:歌川国芳
出版:嘉永元年(1848
判型:大判錦絵揃物のうち
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP9148

 後室瑶心院尼、すなわち塩冶判官亡き後の奥方が髪を切り尼となった姿を描く。後ろに立てられた屏風の花鳥画は鴛鴦であろう。本来なら対であるべき夫婦鳥の片方のみである。さて、略伝によると、念仏三昧の瑶心院の元に、大星が参上したという。対面してしみじみと語り合う瑶心院と大星。しかし、暇乞のための訪問であることを聞かされた瑶心院は、敵を討つ志はないのかと大星をなじる。言葉なく退出する大星。その三日後、敵討成就の報がもたらされ、瑶心院は大星に粗忽な態度をとったことを詫びる使者を仙鶴寺に遣わすのであった。つまり、これは、現代人には映画やドラマでおなじみの瑶泉院と大石内蔵助の「南部坂雪の別れ」である。かつては講談などで知られていたのであろう。