E2.2.08.3 誠忠義心伝 六 天川屋義兵衛

絵師:歌川国芳
出版:嘉永元年(1848
判型:大判錦絵揃物のうち
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP9146

 六枚目は天川屋義兵衛。「仮名手本忠臣蔵」の十段目は天川屋の場で、義平の見せ場が設けられている。義士に準ずる働きを見せた義兵衛が「誠忠義心伝」の一枚に選ばれるのは、ごく当然のことであろう。図は、十段目同様、我が子を犠牲にすることも厭わぬ男気を見せるところ。「仮名手本忠臣蔵」では、詮議に来た捕り手は実は義平の心底を試す塩冶家の浪士たちであったが、本図の略伝では義兵衛は本当に牢獄に入れられ拷問を受けている。しかし暫くは決して白状せず、義士が本懐を遂げたことを知るや否や自らの罪を認め仕置きを受けることを望んだので、役人さえも「義侠勇猛の者」と賞讃して罪を許した。後年は法体して四十七士の菩提を弔い、天寿を全うした。そのように伝えられている。