E2.2.08.1 誠忠義心伝 一 大星良雄内室石女
-
-
絵師:歌川国芳
出版:嘉永元年(1848)
判型:大判錦絵揃物のうち
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP9141E22.7.01の解説にあるように、歌川国芳・一筆庵(渓泉英泉)のコンビで出版された義士外伝シリーズの一つ。他シリーズと同様、人物像に長文の略伝を付す。四十七義士を中心に据える「誠忠義士伝」に対して、本シリーズは義士をとりまく周辺の人々を取り扱う。17図が確認されているが、その内女性が12図と大半を占める。義士たちが大願成就を果たし得た裏には、「義心」を有した人々の存在があったということであろう。
一枚目は、大星の妻女お石を採り上げる。主君切腹の報を受け籠城か殉死かをはかるために登城する夫や息子。お石は彼らを心丈夫に送り出したという。図は、盗賊をもふせぐ気負いをもって、男不在の留守宅を守るお石の姿。大星が遊興に耽った際も無用な嫉妬心を起こすことはなかった。敵討成就の知らせを受けると夫に殉じて自害したとする。「古今稀なる貞操烈女 武士の妻の鏡」との評価である。