E2.4.1.4 見立挑灯蔵 十一段目
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絵師:歌川国芳
出版:弘化4年~嘉永元年(1847~48)
判型:大判錦絵11枚揃のうち
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP0557提灯に描かれるのは、十二月十四日夜に討ち入り、明け方になって炭小屋に師直を見
つけ出し大願成就を果たした義士の姿。
狂歌は「幡の屋 すゝ払めざすかたきの胴あげを見つけ出したる明がたの空」。
江戸の十二月十三日は、煤払い、つまり年末の大掃除の日である。払い終わると祝儀
の意味で胴上げを行う風習があったが、嫌がって逃げる女たちも少なくなかったらしい
。図は、煤払いも終わる明け方となり、胴上げの雰囲気を察知した女房が、慌てて手近
にいた子供を背中に乗せようとするところ。子供を負うことで、胴上げの標的とされる
ことから逃れようとしたのである。女房の頭には炭模様の手拭い、その着物は桐模様で
ある。これらは、師直の逃げ込んだ炭小屋、師直の桐の薹紋に通じるものであろう。子
供はというと、一丁前に煤払いを手伝っていたらしく、被った手拭いはまるで討ち入り
頭巾のようだ。片手の挙がったその姿はまた、敵師直を見付け出し仲間を呼ぼうとする
義士を思わせる。