E1.1.1.01 忠臣蔵 大序
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絵師:歌川広重〈1〉
出版:天保(1830~44)中期
判型:横大判錦絵16枚揃のうち
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0035-01広重は、10種に及ぶ「忠臣蔵」の揃物を描いたというが、中でも16枚からなる本シリーズは、その代表作といわれる。二つ巴を雷紋でつないだ枠の中に各段場面を描いているのだが、芝居ではどちらかというと軽く扱われる十一段目を6図に拡張した構成や、あまり描かれることのない場面をあえて多く採用している点に大きな特徴がある。
大序を描く本図は、足利家の紋所「丸に二つ引両」入りの幔幕が引き渡された鶴ヶ岡八幡宮社頭、兜改めの場面。画面右上、上畳に座する足利直義をはじめ諸大名が居並ぶ前に、塩冶判官の妻顔世御前が石段を上がってくるところ。顔世は、八幡宮の宝蔵に奉納する敵将新田義貞の兜を見知っており、どれが義貞の兜かを判別するために呼び出されたのであった。顔世の後ろには、兜入りの唐櫃を運ぶ仕丁が描かれる。左端には、鶴ヶ岡八幡宮のシンボル、大銀杏が見える。