D8.7 大新板うさぎ忠臣蔵

絵師:無款
出版:明治5・6年(1872・1973)
判型:横大短冊判錦絵
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0597

 上方における兎絵の作例。横長の画面を横12列、縦4段に区切り、それぞれの段の右から左へ4コマずつ『忠臣蔵』各段を描いている。1コマに1人(匹)ずつ兎で登場人物を描き、各段4コマあるいは2コマで1つの場面としている。

最上段の右から4コマが大序で、右から師直・判官・若狭之助・顔世御前を配し、顔世をめぐる師直と若狭之助の対立を判官が仲裁する場面である。中央の4コマが二段目で、右2コマが「力弥使者」の力弥と小浪、左2コマが「松切り」の若狭之助と本蔵である。左の4コマは三段目で、そのうち右2コマが「喧嘩場」の師直と判官、左2コマが「道行旅路の花聟」の勘平とおかるである。

2段目の最初の4コマが四段目で、判官切腹の場面の薬師寺・石堂・判官・由良之助である。中央の4コマは五段目、右2コマが弥五郎・勘平の邂逅、左2コマが定九郎が与市兵衛を襲って財布を奪う場面である。左4コマは六段目の勘平腹切りの場面で、右からおかや・郷右衛門・勘平・弥五郎である。

3段目は各段のコマ数の構成がイレギュラーになっている。右の4コマが七段目で、その右2コマが力弥が顔世の密書を由良之助に届ける場面、左2コマが平右衛門がおかるに斬りかかり、おかるが懐紙を投げて逃れる場面である。中央4コマのうち右2コマが八段目、「道行旅路の嫁入」で、左2コマは九段目の、小浪の嫁入りを断られた戸無瀬が小浪を殺して自らも死のうとする場面になっている。左4コマも九段目で、本蔵が故意に力弥の槍に突かれる場面のお石・本蔵・戸無瀬・力弥である。

最下段。右4コマは十段目、捕手に扮した義士たちに囲まれた義平が長持に座って男気を見せる場面。中央の4コマは十一段目、炭小屋から見出された師直に由良之助が判官形見の短刀を示して生害を迫る場面である。そして、左の4コマは、両国橋の引揚げ、旗本服部逸郎が義士一党を押し留め、由良之助が事の次第を話す場面である。