D6.8 見立てうちん蔵 二段目

絵師:歌川国芳
出版:弘化4年~嘉永元年(1847~48)
判型:大判錦絵11枚揃のうち
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0366

 「見立挑灯蔵」は、美人の姿態を『仮名手本忠臣蔵』各段の場面に見立てた11枚からなるシリーズで、『忠臣蔵』の登場人物を描いた提灯形のコマ絵と狂歌師が寄せた画賛からどの場面の見立になっているかを判別するという趣向である。

 本図は、二段目の松切りに見立てたものである。前日鶴ヶ岡八幡宮社頭で高師直から受けた恥辱に怒りを鎮めることができない桃井若狭之助は、翌日の殿中で師直を討つ決意を固める。そして、無念の心情と決意を家老加古川本蔵に打ち明ける。本蔵は、庭の松を一枝切り落として「このとおり存分に」と同意する、という場面をモチーフにしている。提灯には刀を握りしめる若狭之助を描き、本画面の娘は活花の松の枝を剪定している姿で、本蔵の松切りに見立てている。梅屋(梅廼屋)鶴子の狂歌賛は「若狭塗のる花台にさからハて主にそなれの枝や切るらむ」で、「若狭塗」は若狭之助を、「枝や切るらむ」は松切りを暗示している。