D6.9 見立てうちん蔵 七段目
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絵師:歌川国芳
出版:弘化4年~嘉永元年(1847~48)
判型:大判錦絵11枚揃のうち
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP0553本図は、七段目で由良之助が顔世御前から送られた密書を読む際に、上からはお軽、下からは九太夫が読もうとする場面を見立てたもの。提灯には、密書を延鏡(のべかがみ)に映し見るお軽が描かれる。中央の女性の衣装には二つ巴を散らし、由良之助を投影する。忠臣蔵でお軽は密書を誰かからの恋文だと思って覗き見するが、女性が恥ずかしそうに隠す様子をみると、この作品ではまさに恋文なのだろう。こたつの下の猫には、由良之助が繰り下ろす文を床下から盗み読み、破り取ってしまう九太夫が重ねられている。梅屋による画賛「見られしと人にこゝろを置ごたつ あとやさきなる文の言訳」には、「をなごの文の跡や先 参らせ候ではかどらず」という浄瑠璃の文句を効かせてある。