D12.03 忠臣蔵三段目の図 組上とうろふ

絵師:叢豊丸〈1〉
出版:寛政(1789~1801)前・中期
判型:大判錦絵
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0140
       
 玩具(おもちゃ)絵(え)の一種、組(くみ)上(あげ)絵(え)の作例。組上絵は、大判や細判の1枚から複数枚に詰めこんで描かれた人物や建物、樹木、背景などのパーツを一つ一つていねいに切り抜き、貼り合せて組み立てる絵で、立版(たてばん)古(こ)、切組(きりくみ)燈(とう)籠(ろう)、組上燈籠などとも呼ばれる。お盆の供養に作られる燈籠が江戸時代中ごろに玩具化したものといわれ、明治・大正期まで作られた。古くは葛飾北斎や北尾政美、歌川国長、歌川豊久らが描き、幕末では江戸の歌川芳藤、大坂の長谷川貞信が作者として知られる。題材は圧倒的に歌舞伎の舞台を写したものが多く、年中行事や風物、神社仏閣や駅といった建造物などもある。
 本図は、『仮名手本忠臣蔵』の三段目のはじめ、主人桃井若狭之助の登城より先に馬を走らせた加古川本蔵が、大手馬場先で高師直とその家臣鷺坂伴内に莫大な賄賂を贈る「進物場」を組上絵としたもの。また、顔世から師直への返歌の入った文箱を届けにきた腰元おかるが、塩冶判官側近で恋仲の早野勘平にことづけるところを描いた人形も、進物の場面から少し離して立てるようになっている。