D12.02 忠臣蔵狂画雙録

絵師:歌川国貞〈3〉
出版:明治28年(1895)
判型:特大判錦絵
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0610
     
 1と同様に『忠臣蔵』を戯画で表現した絵双六。大判を2列2段に配列し、上部中央に雁木模様の枠取りに「忠臣蔵狂画雙六」の文字を入れた標題の紙を付けた形である。大判の画面を4つの枠で区切り(ただし、右下の「大序 ふりだし」と左上の「大詰 上り」は横2枠分)、「大詰 上り」を除くすべての枠の上にサイコロの目に応じた移動先の指示が摺り込まれた飛び双六になっている。
 各段の図は『忠臣蔵』の主要な場面をパロディ化したもので、図中には描かれている人物の発する戯れ言などが書き込まれている。いくつかの場面を見てみよう。まず「大序 ふりだし」は兜改めならぬカボチャ改めで、顔世は「わたしハ大好物サ、みんながかぼちやこぜん((御前))といふハサ」と言っている。「喧????場(三段目)」は師直と判官のにらめっこで、師直「おれハよくづら((欲面))にらみだ」、対する判官は「このつらをおく((奥))にみせたくない、ふな((鮒))にらみだぞ」。「七段目」は、おかるが階下へ降りる梯子がはずれて由良之助に倒れかかっている。おかる「おかるかる\/うれしかる、とぼけたところておかしかる」、由良之助「まんざいらく\/くわばら\/\/」。「十一段目」は、討ち入った師直邸の台所で食べ物を見つけ、食べる義士たちで、「めつけた\/、一ツしてやろふか」、「むまいものならおれにもくわせろ」。「大詰 上り」は炭小屋から師直が化け物のふりをして現れ、義士たちが驚き逃げている。師直「もろんなあァ、もゝんぐわァときこへるか、うらめしいでハない、由良めしいだ」、義士たち「こいつハたまらぬ」「ゆるせ\/」。