D1.2(仮名手本忠臣蔵 四段目)

絵師:豊原周義
出版:明治11年(1878)
判型:大判錦絵2枚続
所蔵:赤穂市教育委員会市史編さん室
作品番号:AkoCH-S0036-01~02
      

 明治11年(1878)11月から12月に東京の新富座で上演された『仮名手本忠臣蔵』の四段目に取材したもの。切腹する判官と国元から駆けつけた由良之助を描く。このときの舞台は、「団・菊・左」を中心とする当時の名優たちによって主な役すべてが日替りで演じられて大当たりをとった。判官と由良之助も、図の上部に描き込まれた巻物に記載されているように、それぞれ5人の役者が毎日替りで演じた。本図の最大の特徴は、判官と由良之助の顔の部分にそれぞれを演じた役者の似顔が重ねて貼られ、めくって見ることができる子持絵になっている点である。それぞれの役者は上から順に次のとおりである。

  判官 尾上菊五郎Ⅴ→中村宗十郎Ⅰ→坂東家橘Ⅰ→市川左団次Ⅰ→市川団十郎
  由良之助 市川団十郎Ⅸ→尾上菊五郎Ⅴ→市川左団次Ⅰ→中村仲蔵Ⅲ→中村宗十郎Ⅰ

 なお、本図を描いた豊原周義は、本名を鈴木サトという女流絵師で、豊原国周の門人。