B3-04 誠忠義士肖像 大星由良之助良雄

絵師:国芳
出版:嘉永5年(1852)
判型:大判錦絵
所蔵:赤穂市教育委員会市史編さん室
作品番号:AkoCH-S0009

 「誠忠義士肖像」シリーズは、嘉永5年(1852)に刊行された揃物で、文字通り義士の肖像画を志向して作画されたが、当時は不評だったのか12枚までしか世に出なかった。義士一人一人の討入り姿を半身像でダイナミックに描いているが、従来の役者絵的な肖像ではなく、虚実はともかく、もっともらしくリアルな相貌で描かれているのが大きな特徴。黒目に白点を入れて光の反射を表現したり、陰影をつけて顔の立体感を表すなど、近代的な写実性がうかがえ、今日では評価が高い。近年、このシリーズの内、「潮田政之丞高教」「吉田沢右エ門包貞」「富之森祐右エ門正固」の3図はニューホフの『東西海陸紀行』所収の挿絵をアレンジしたものであることが指摘されている。

 由良之助の本図は、右方を向き、おそらくは床几に腰かけた姿で、「早野勘平一番槍討死」の札を付けた槍を肩にかけている。実説の大石内蔵助が梅干しをつぶしたような顔であったと評されたのを知ってか知らずか、多く描かれる役者的な格好良さとはほど遠い、丸みを帯びたどこにでもいそうな顔で描かれている。その意味でも実にリアルな肖像である。