B3-03 誠忠義士伝 一 大星由良之助良雄

絵師:国芳
出版:弘化4年(1847)
判型:大判錦絵
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0340-01

 討入り時の義士を取り上げた武者絵シリーズの代表作で51枚からなる。弘化4年(1847)7月から12月にかけて順次刊行された。四十七義士に、第38図と第39図を「誠忠義士伝起源」としてそれぞれ「高野武蔵守師直」「塩谷判官高貞」の2図、第47図の「早野勘平常世」、「大尾」の「鹿松諫六(しかまつかんろく)家僕(けらい)塵三郎(じんざぶろう)」の計4図で51枚である。「大尾」の1枚は本シリーズの続編として刊行された義士外伝シリーズ「誠忠義心伝」の予告編として加えられたのではないかと推察される。各図義士の戦闘する様を生動感いっぱいに描き、上部に浮世絵師(けい)(さい)(えい)(せん)から戯作者に転身した一筆庵による略伝を添えるというスタイルである。これが空前のヒットとなり、版元の海老屋林之助は傾きかけた身代を立て直すとともに、その後の義士図の基本的様式が確立されることとなった。幕末江戸の政治・事件・災害・娯楽・出版などありとあらゆる情報を記録した『藤岡屋日記』によると、「都合五十一枚続、去未年七月十四日より売出し、当申ノ三月迄配り候処、大評判にて凡八千枚通り摺込也」とあり、普通錦絵の初摺は200枚程度とされるので、8000セット摺ったというのはいかに驚異的な売れ行きであったかがわかる。

 由良之助は本シリーズの第1図に描かれ、床几に腰かけ、「早野勘平討死」の札を付けた槍を肩にかけ、陣太鼓を打ち鳴らす姿である。