B1-13 忠臣蔵 九段目

絵師:広重
出版:天保(1830~44)
判型:大判錦絵(横絵)
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0035-09

 広重は、10種におよぶ「忠臣蔵」の揃物を描いたといわれるが、中でも十一段目を6図に拡張した16枚揃の本シリーズは最高傑作とされる。二ッ巴を雷紋でつないだ枠の中に各段場面を描いているのだが、芝居ではどちらかというと軽く扱われる十一段目を6図とした構成や、あまり描かれることのない場面をあえて多く採用している点に大きな特徴がある。いくつか例をあげると、三段目は「進物場」、四段目は「花献上」、六段目は与市兵衛の遺骸を送り届けた猟師たちが嘆き悲しみながら帰っていく様子、七段目は九太夫が由良之助の腹を探る宴の場面、といった具合である。

 九段目の本図も、段切れの場面が描かれている。判官の刃傷・切腹以来大星・加古川両家を隔絶してきたわだかまりが消え去り、由良之助が本蔵の着ていた虚無僧姿に着替えて、討入り準備のため堺へと向かうところである。