D5.1 浮絵忠臣蔵 八段目

絵師:歌川豊国〈1〉
出版:寛政(1789~1801)前期
判型:横間判錦絵11枚揃のうち
所蔵:赤穂市立歴史博物館
作品番号:AkoRH-R0006-08   

 西洋の遠近透視図法を加味して距離感を強調した「浮絵」という手法で描いた11枚の揃物のうちの八段目。場面は、大星父子が閑居する山科めざして戸無瀬と小浪が東海道を旅するところ。街道の両側の松並木が遠近法によってはるか遠くまで続く道程を表現している。この街道は左へと曲がっていくようで、その左方には槍や馬印を掲げて進む大名行列が描かれ、画面中央の遠景には富士山が大きく高くそびえている。

 本シリーズは、主たる場面を右あるいは左、また前方に寄せて遠景まで描き、大きな空間が創り出されており、どちらかというと浮絵による風景描写に主眼が置かれ、点景される人物は小さいのが大きな特徴となっている。