B2-18-04 忠臣蔵 十段目 大星由良之助

絵師:国周
出版:慶応2年(1866)
判型:大判錦絵3枚続
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP4388(arcUP4388~90)


 慶応2年(1866)7月の市村座の上演に取材したもの。十段目、捕り手を前に、武器を蓄えた長持の上に座り込む天川屋義平(初代河原崎権十郎)、「天川屋義平は男でござる」の名場面である。捕手は大勢のはずだが、一人。左方に弁慶人形を掲げた丁稚伊吾(4代目市村家橘)が逃げようとしているが、この場面では本来、義平の息子由松が人質のように捕われていなくてはならない。右方に暖簾口から由良之助(5代目坂東彦三郎)が現れているが、原作では長持の中から出てくる。由良之助がこの期に及んで町人の心底を試そうとするのでは由良之助の人物が小さくなるため、不破数右衛門など他の役名になって演じることもあり、また長持にどっかと座った義平の尻の下に隠れているのも由良之助の役に相応しくないため、本作のように暖簾口から現れる演出があった可能性もある。.