B2-10-02 大星由良之助 

絵師:豊国〈3〉
出版:万延1年(1860)
判型:大判錦絵3枚続
所蔵:立命館ARC
作品番号:arcUP2593(arcUP2593~95)

 万延1年(1860)4月の中村座の上演に取材した作品。密書を覗き見し、由良之助の秘密を知ってしまったお軽(4代目尾上菊五郎)に、その事情を知った兄・寺岡平右衛門(初代中村福助:後の4代目中村芝翫)が、斬りかかるが由良之助に止められるという場面。
 この場は、最初は平右衛門から逃れるために、お軽が懐から懐紙を取りだし平右衛門に投付け、宙に白い多数の懐紙が舞う場面があり、お軽と平右衛門だけの構図はこの場面のように見えるが、本図では懐紙が舞っていない。次に、平右衛門がお軽に状況を説明し、お軽が得心して「手にかけて下さんせ」と首を差出すが、兄の手に掛ったならば「母が悲しむだろう」といって、刀を奪い取り自害しようとする、という展開である。その様子を見ていた由良之助(8代目片岡仁左衛門)が、まさにそのタイミングで「ヤレ待て暫し」と制するのである。シーンの時間の幅を持たせた描き方となっている。.