●梅初春五十三駅
天保6年(1835)正月 江戸・市村座初演
<書き掛け>
源平の合戦が終息を迎えた頃のこと。木曽義仲の遺児清水冠者義高は、鼠の妖術を習得して、怨敵頼朝への反逆を企てる。一方、頼朝の弟蒲冠者範頼も、天下掌握を画策していた。範頼の腹心石塚玄蕃は、大江家お預かりの朝廷の宝剣を、本庄助太夫に盗ませる。それを知った白井権八は、助太夫を討ち果たすが、宝剣は助太夫の一子助八が持って逃走してしまう。権八はお尋ね者として追われながら、宝剣の行方を探索する。
こうして、義高、権八、玄蕃、助八、それに頼朝の娘で義高の許婚の大姫、木曽の旧臣・根の井小弥太らが、宝剣を追って東海道をくだって東に進んで行くのであった。